6/29第二作小説「千に咲く」水月あす薫(みずきあすか)
詳細はリンクしている「ルナーズファウンテン」でどうぞ。
 
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【2017.03.17 Friday 】 author : スポンサードリンク
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結婚式
JUGEMテーマ:短編小説






「夢?」



布団にもぐったまま、寝ぼけた頭は今見た光景を反芻している。





結婚式。







結婚式・・・だった。







会場は、舞台・またはコンサートをするような大きなホール。






椅子は、舞台に向かって並び、階段は上に行くに連れ、高く高く昇っていくように、そしてそれは、とても大きな会場だった。





客席で変わっているのは、必ず椅子と椅子の間に長テーブルがあり、披露宴の料理が並べられ、次々と飲み物やデザートなどが運ばれてくること。





親族は一番前の椅子に座り、女性は当然のように留袖を着ている。







私は、一番後ろの、会場の一番高い、上の部分から、たくさんの客を眺めている。







舞台では、新郎と新婦が、なぜか幼稚園の水色のスモックを着て、友達のアナウンスで幼稚園時代を語っている。







私のいる一番後ろは、これから出る食材や、お菓子、そして披露宴イベントのコスプレのようなコスチュームが並べられている。





おもしろい。



夢中になって、それらの写メを撮る。







ふと気づくと、こちら側の親戚は後ろに立つ私の左側の最前列。

そして右側が彼女の親戚が並んで座っているようだ。







私も留袖だ。そろそろ、夫の隣の空いている席、私の席につかなければ。





いや、彼女のご両親に挨拶するのが先だろう。






彼女側の親戚の席は、右側。





私は右側の階段を、舞台に向かって降り始めた。



大きい会場。長い長い階段。








彼女の親戚の席がかすかに見えてきた。





すると、こちらに気づいたのか。二人の女性が立ち上がった。





一人は彼女の母親。こちらを少し振り向いた女性は、彼女の母親の母親か。






おそらく彼女のお祖母様か。
















目が覚めた。





・・・・挨拶する直前で、目が覚めた。








彼女のお祖母様。








私に会いに来てくれたのか。一度もあったことがない、お祖母様。








起き上がりながら、私は、二か月前、息子から来たメールを思い出した。









「彼女のお祖母さんが亡くなった。」




【2013.04.14 Sunday 23:32】 author : sirius08
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覚醒しない・・・
JUGEMテーマ:短編小説
 
「わかってるのか?もう 何度も話してるはずだ。」


もう何度も 耳の奥に繰り返し声が響く。


「おまえは 何のために この人生に転生した?」

「おまえには 伝えるべきことがある。そうではないのか?」



・・・・小さい時から お話し作りが好きだった。

心の奥底から 湧いて出てくる言葉の嵐に、 自分をもてあましたことがあった。


この湧き出るアイディアの泉は何だろう。

汲んでも汲んでも 湧き出る泉。

泉に映る 月の影。



ルナが 私を見つめている。

泉に映るルナは この長い生涯 私を捉えて離さない。



「いつになったら再開するつもりなんだ?」

「俺は言ったはずだ。3年前に、わざわざ 俺の姿を模したものに身をやつし、おまえに会いに来た。あの時、言ったはずだ。」



言われたよ。

でも


「言い訳」


だって


「口答え」


現実が 私の作品を 追い抜いて行くんだ。



「そんなことは、今が始まったことじゃない。 あの「クローン」という作品を書き始めた時は、まだクローン技術は、それほど注目されていなかった。」



そう、それなのに やっとペンを持った時には クローン羊が生まれ、書き始めて 先を悩んでいるうちに、頭の中にあったクローン工場は、映画の一シーンとして、先に再現されていまった。



「おまえが 遅かった。思いつくのが早くても、先に発表されたら、真似になる。」


・・・・書けない。


「おまえが描いた洪水が 現実化したからか?」


「おまえが 描いた終末のイメージを すでに言葉にされ 電波で発信されたからか?」


私が 子供のころから描いていたと 誰に証明できる?


先に書かなかった 私が悪い。


・・・・書けない。



「人のせいにするな!」




・・・・書けないよ。





一陣の風が 強く冷たく 叩くように私を襲った。



彼の怒り。


生まれてきた意味。


迷いのループにはまった わ・た・し。




「眼を覚ませ!」




彼の声が 雪吹雪の中を旋回してゆく。



「眼を覚ませ!」




・・・・書けないよ。



・・・・書けないよ・・・・・・アシュラ・・・・。

                                 
                                         2012年1月31日(火)
                   
                    アシュラ来たりて語りしが、その様相
                    某寺の木像と酷似せり。
【2012.02.13 Monday 14:35】 author : sirius08
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覚醒しない少年
JUGEMテーマ:短編小説
山を利用した坂道に家並みが綺麗に見える。

車が到着したのは、そんな住宅地の一角だ。

ここへ来るまで 息子には何も話していない。

話せば必ず ”逃げられる” 私には その危機感だけがあった。

その家に入ると、いわゆるリビングに猫が寝そべっていた。

特に変わりのない 普通の家。


「これから 話すことに おかあさんは 聴いていてね。」 私は 黙ってうなずいた。

「不思議空間に 来たと思ってね。」

その家主が話す言葉は 息子には 物語にしか聞こえなかったかもしれない。



昔 中国の王朝。二人の王子がいた。 長男は側室の子供。次男は正室の子供。

利発な長男は、側室の子であっても愛され、将来を嘱望されていた。

しかし、失脚を狙う次男 正室側が導師(陰陽師)をたてて、長男 側室側に呪いをかけた。
 
導師は強い力を持っており、魔界より蛇を連れてきて、長男に取りつかせた。
 
蛇に取りつかれた 側室側の長男は 狂人となり、やがて やせ衰えて死んだ。
 


「あなたは、その長男 側室の子供だったの。小学校の頃、蛇はあなたを見つけて、再び取りついたの。その蛇、取り除いても、いいかしら?」


息子は 少し戸惑いがちに
 

「悪いものなら、取って下さい。」 と言った。
 


私は 正直 はらう場面など見たことはない。


まして、何も見えない私には 何をしているのか わからない。
 
しかし 家主が いつになく 力が入り、大きな物と戦っている様子だけは、感じられた。
 


「どうぞ。座って。」


息子は どう感じたのか、よく 解からない様子だった。


「蛇は、あなたの魂も食べるつもりだったみたい。でも、あなたの魂が強かったから、死んだ時に すぐに霊界に逃げたの。」

家主は続ける。
 

「よく49日と言うけれど、普通は少し現世に魂がとどまっているのね。でも、とどまっていては蛇に食べられるから、すぐに霊界にいったの。」
 

息子の魂は強く 魔界の蛇は捕まえられなかった。魔界の蛇は 霊界には行けない。

蛇は 執念深く また転生してくることを待った。
 
次の転生。蛇は、息子の魂を見つけて 人生をめちゃめちゃにした。


そして今度が 三度目の人生だった。
 

小学校の頃に息子を見つけてとりつき、彼の体をぐるぐる巻きにして、ネガティブなことを吹き込み、やる気をなくさせ、人生の目標を見失わせていた。


「質問、何かある?」


息子は 戸惑いを隠さないまま、口を開いた。
 

「あの、父親とうまくいかない、というか。


今は離れて暮らしているので良いのですが、どうも うまくいかなくて。」


「その時の王様が 今のお父さんよ。愛していた息子だったけど、狂ってしまって心が離れた。だから、今世で、親子をやりなおそうとしたの。」
 

そして、ちらりと私を見た。


「おかあさんは、その時 いなかったけどね。おかあさんのお腹を借りて、再び息子として生まれたのね。」


蛇 云々には 少々 半信半疑の息子だったが、この父親の話は、妙に納得したようだった。
 

「あのね、何も見えないでしょ。私の話だけだから、何も証明はできないの。でも、お話し、聞いてくれて良かったわ。でも。」


息子も私も 家主を見つめた。
 

「今までの癖が残ってる。蛇によって、ネガティブな心、諦め、めんどうくさいとか、そういう途中でやめてしまったり、諦めたりすること。」

「これから、本当に変わるのは自分自身だから。その癖を、変えるのは自分自身だから。」



息子が何か不思議な力があるように感じたのは、彼が小学校の時だった。
 

てっきり 見えないものが見えると感じてしまった私が、つい喜んでしまってから、彼は自分を否定し始めた。
 

反省しても遅い。

その後 何故か どんどん やる気を失っていった。

小学校 中学校 高校 大学 初めはいいのだ。 


しかし、かならず すぐ息切れする。


大学は・・・2年生で すでに卒業できない状態。

一年で取れる単位をあと2年間 フルで取っても 足りない。
 

しかし 大学をやめたいなら それもいい。

自分のやりたいことがあるなら やめて その道に行けばいい。
 
しかし、本人は やりたいこともなく、勉強することもなく、ただ時に流されていくだけだった。


今更 二十歳を過ぎた大人を 叱りつけて 先に進めるとも思っていない。
 
しかし 三年の前期は、 取得単位 ゼロ だった。
 


時は 突然やってきた。


彼の兄の結婚式と、その兄の用事が 三連休の 一日目と三日目にあり、私は三日間 関東に滞在することになったのだ。
 

その 真ん中の 二日目の日。

私は 思い切って その二週間前に、私の師匠にセッションをお願いした。
 

師匠は、大変忙しい方だが、たまたま その日が直前に空き、息子に何も告げずに、私は師匠の家までやってきた。
 
「自分を認められるようになってほしい。否定しているだけでなく、時間がかかっても何か やりたいことを見つけてほしい。それには、まず、自分を認められるようになること。」

私が 師匠にお願いしたことは、これだった。


それが、こんな展開が待っていようとは。
 



「カウンセリングを受けてるみたいだったね。」


帰りの電車で息子が言う。
 

「普通の家だったし。蛇は わからないけど、親父のことは、よくわかった。」


それでいい。それだけでいい。
 

私だって 何も見えてはいない。わからない。 でも、納得できた。 それで いい。




秋風の吹き始めた10月。 憧れた師匠の家に行ったのに、正直、あまり 良く覚えていない。


息子のことで 必死だったから。


師匠。
 


別に 霊的なものの師匠でない。


人生の師匠だ。
 

師匠との出逢い。



それは、またの話しにとっておこう。



覚醒しない少年は、もう青年の域に到達したのか。



本来の覚醒を、また 心待ちにする 私だった。

2011年10月9日
【2011.10.15 Saturday 18:51】 author : sirius08
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覚醒しない少年
JUGEMテーマ:短編小説



「愛の糸」初めから読まれる方は こちらから

息子に 足を引っ張られた。

眠っていると私を起こし 「兄が・・・」と、言う。

いや、おかしい。

この子は 関東に出ていて こちらにはめったに帰ってこないはず。

では、やはり夢。

兄も家を出ている。

また、布団に寝ようとしたら また足を引っ張る。

それがリアルで 足が痛いくらいだ。

目が覚めて 夢と確信してから、二人の息子にメールした。

「無事ですか?今、日本のどこにいますか?」

兄の方は、すぐに返信があり「日本の東京です」とまじめに帰って来た。

かんじんの弟は、来ない。

その日の夜中にやっと連絡が取れて、電話で話をした。

自分が出てくる夢なのに

「気持ち悪い」と言う。

ついでに 私の周りにいる たくさんの 「見える人」の話をした。

この末っ子は、本当は見える人 だったかもしれない。

私がいけなかった。

この子が小さい時、当たり前にm思っていた 他の人が見えないものについて つい

「特別な力」という ようなことを言ってしまったのだ。

それから この子は 自分を否定するようになった。

親としては 失格だと思う。

今回の電話の中で

「私が 記者会見している映像が見える人がいるんだよ。」

「へえ」

「なんか、私から 「月」をもらったらしい。私にとって 月は大きな意味があって・・・」


そこまでいうと、息子は

「おかあさん、それって大切な月をあげたってこと?取られたってこと?」


おや?


そんなことは 考えたこともなかった。

やっぱり この子の感性は 独特のものがある。


そういえば その「見える人」は その後 本人の努力のかいがあって 大きく飛躍している。

「月」は あげたの?取られたの?


それとも そんなことは 何でも無いこと?



まだ 覚醒しない息子は 覚醒しない少年のまま 時々 私に鋭く入り込む。

夢で知らせたかったことは 本当は何だったのだろうか。


2011年5月14日
 
【2011.05.22 Sunday 03:15】 author : sirius08
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隠れ宿
JUGEMテーマ:短編小説
 

男が目覚めると ふとんに白い肌の女がいた。


酔っていたのか 記憶がさだかではない。


男は あわてて服を着る。


女は 「待って」と 起き上った。


「まだ 何も。何も 無いのよ。」


男は ほっとした。


「すまない。酔ったいきおいだ。私には 妻が・・・。」


男は そこまで言うと そそくさと服を着て、女の家を出た。





思えば 不思議な話だ。



酔って 暗闇に飲み込まれたような記憶はある。



だが いつ どこで あの女と・・・。



・・・確か 暗闇に飲み込まれる時 会社の上司と後輩に声をかけられた。



彼らは どうしただろう。





後輩は 女の白い肌に顔をうずめていた。


男は 会社の先輩。最近 妻を失った。


しかし 休んで妻の送りを済ませた後も 会社を休んでいた。


今晩 たまたま上司と呑んでいて 男を見かけたのだ。


暗い霧の中に 飲み込まれるようにして消えていきそうな男を 上司とともに追いかけた。


自らも かなり酔っていたと思う。


それが こんな幸運。


美しい女と ともに夜の闇に溶けて行こうとは。


後輩は 女の体に身を飲み込まれるように 沈んで行った。



彼が沈んだ先には 大きな赤く光る目が二つ。



毛むくじゃらな 8本の足がうごめいていた。




上司は たくさんの裸の女たちに囲まれていた。


そう、部下と呑んでいたら 暗闇の奥に消えてゆく 男を見つけたのだ。


妻を亡くしてから 会社に出てきていない。


男を 部下と追いかけた。


その先にあった パラダイス。


酔ったいきおいも手伝い 女たちの群れに飛び込んだ。


あぁ でも なんて 熱いんだ。


女が たくさん 体中に まとわりついているからか。





「ねえ、かあさん。もう、ゆであがったの?」



「あぁ、もうすぐだよ。骨まで溶けるにはちょっと時間がかかるけど、もうスープは飲めるよ。」



「かあさんは、いつもスープね。とうさんは、生で食べてしまうのに。」



「だって、スープにすれば 長く楽しめるだろ。骨まで溶けたエキスがね。」



母親は、大きな なべをかきまぜながら 娘を振り返った。



「それより おまえは良かったのかい?男を逃がしてしまって。」



娘は 小さな ため息をついた。



「だって あの男。死んだ奥さんのところに 行きたがってたんだよ。」



「だったら、行かせてやれば良かったじゃないか。」



「行けないよ。ここじゃ。」



「ふん。同じことだよ。死にたいやつは 死なせてやれば良かったんだよ。」



娘は 母親の言葉に プイと 横を向いた。





暗闇の中に壊れかけた橋が見えた。


そうだ、この橋を渡ったんだ。この橋を渡る時に上司と後輩に会ったんだ。


男は夜霧にけむる暗闇を振り向こうとしたが 思い直して橋を渡った。


上司と後輩のことは気になっていたが 実際自分もひどく酔っていて 本当に二人に会ったかは さだかではなかった。




男は 橋を渡り終えると まだ灯りの残る街へ向かった。



その先には 妻のいない家がある。



ふと 男は 古事記の「イザナギ・イザナミの話」を思い出した。



死んだ妻を黄泉の国まで迎えに行き 振り向いてしまったため 腐りかけた死んだ妻に追いかけられる話だ。



男は 決して振り向かなかった。



明日は 会社に出よう。いつもでも ひきこもっては いられない。



新しい人生を 生き直さなければ。



男は 明るいネオン街に消えて行った。





橋の向こうの 夜霧にけむる暗闇が あとかたもなく消えたことを 男は知ることは無いだろう。




終わり


2011.1.23(日)

【2011.01.24 Monday 01:27】 author : sirius08
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