6/24第三作初の短編集「白龍抄」発行水月あす薫(みずきあすか)
詳細はリンクしている「ルナーズファウンテン」でどうぞ。
 
<< 愛の糸#38 嵯峨玲王(さが れお)の 繋がり | main | 愛の糸 #40 嵯峨玲王(さが れお)の繋がり >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

【2017.09.28 Thursday 】 author : スポンサードリンク
| - | - | - | pookmark |
愛の糸 #39 嵯峨玲王(さが れお)の 繋がり
JUGEMテーマ:恋愛小説

初めから読まれる方は こちらから


 

玲王が拓真から聞いた話では、拓真は中学三年の時に伯父伯母と養子縁組をしたが、なかなか「おとうさん」「おかあさん」とは呼べなかった。
照れもあったし、今更という感じもあった。

祥乃夫婦も無理強いはせず、結局、伯父伯母のままで、東京の大学に進学する事になった。


四年の春に東京に就職を決めた時も、祥乃夫婦は反対しなかった。
ところが、秋頃から伯父が体調を崩し入院した。
当初祥乃の話では、たいした事は無いような口ぶりだった。
ところが年が明けて卒業を控えたある日、伯父が危篤という知らせが届いた。




「どういう事なの?!」

拓真が東京から駆けつけると、すでに伯父は昏睡状態だった。

「ごめんね。ごめんね。」

祥乃は何度も謝った。


「本当は肝臓癌で、見つかった時は手遅れだったの。
でも、この人、拓真には絶対知らせるなって。
卒業を控えた大事な時だからって。」


拓真は、もう祥乃を責める気力も無かった。
我が子同然に育ててくれた伯父の、意識の無いやせ衰えた手を握った。
すると、一瞬指がピクリと動いた。


祥乃が叫んだ。叫んだ、と言った方良いだろう。大声で叫んだ。


「拓真、お願い!
おとうさんて、呼んであげて!
最後に一度でいいから、おとうさんて呼んであげて!」


拓真の胸に祥乃の言葉が重くズシリと響いた。
ためらいは無かった。


「お義父さん!お義父さん!」

伯父の指がもう一度動き、伯父がうっすらと目を開けた。
そして拓真を見つめると、ゆっくりととぎれとぎれに、何か口を動かした。


「お義父さん、何が言いたいの?お義父さん!」

拓真はそっと、伯父・・・いや義父の口に耳を近づけた。
義父は消え入りそうな声で、はっきりと拓真に言った。


「俺の・・・息子だ。拓真・・・。」


そのまま再び意識を失い昏睡状態になり、その直後、拓真を本当に愛し育ててくれた二人目の父が逝った。

 




瞬く間に一週間が過ぎて、告別式・初七日・四十九日・百か日を含む法要も一時に済ませると、拓真が東京に帰る日が明日と迫った。


 「義母さん、俺、こっちに就職しようか?」

「あら、いつの間に、義母さんて呼んでくれてたの?」


 拓真も気づかなかった。
 告別式等の中ですでに義母と呼んでいたような気もするが、祥乃も気づいていなかった。


「おかしいわね。
呼んでもらいたいって、思ってたのに、最初に呼ばれた時がいつか判らないなんて。
感動しそこねたわ。」


 「いや・・まあ、それはそれとして、就職・・・。」

「いいのよ。今のままで。」

祥乃は声を強めた。


 「だって、義母さん、ひとりになって・・。」

「拓真、よく聞いて。
あなたに、面倒見てもらいたくて、養子にしたわけじゃないのよ。
拓真の人生は拓真のものなの。」


祥乃は言葉を切り、仏壇の義父の写真を見つめた。

ありがとうございました
いつもポッチン ありがとうございます

【2009.09.19 Saturday 15:20】 author : sirius08
| 愛の糸 | comments(3) | - | pookmark |
スポンサーサイト
【2017.09.28 Thursday 15:20】 author : スポンサードリンク
| - | - | - | pookmark |
この記事に関するコメント
本当の家族ってなんなのか

考えさせられます((-ω-。)(。-ω-))
| ちさやんでぃす | 2009/09/20 1:22 PM |
親を親として、子が受け入れる瞬間。
それって、普通の親子でも難しいことですよね。

続き、楽しみにしています♪
| おっさん。 | 2009/09/23 11:32 PM |
>ちさやんさん
いつも ありがとうございます。
物語も いよいよ 佳境にさしかかります。
さてさて??


>おっさんさん
いつも ありがとうございます。
ルナーズファウンテンも更新してます。
そちらも ぜひ いらしてください。
| シリウス | 2009/09/26 2:35 AM |
コメントする