6/29第二作小説「千に咲く」水月あす薫(みずきあすか)
詳細はリンクしている「ルナーズファウンテン」でどうぞ。
 
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【2017.03.17 Friday 】 author : スポンサードリンク
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愛の糸 #40 嵯峨玲王(さが れお)の繋がり
JUGEMテーマ:恋愛小説

初めから読まれる方は こちらから 


「お義父さんも同じ気持ちよ。
私達は・・・私は拓真が八歳から十八歳まで、十年間一緒に暮らした。
私は拓真に十年という時間をもらったの。
大切な大切な宝物よ。
だから、その宝物だけで充分なの。
私は一人でも大丈夫。
拓真はどこにいても私の息子だもの。
拓真は拓真のしたいように、好きなように生きればいい。
拓真がどこかで元気でいてくれるだけで、私は幸せなのよ。」

 

 




 「それで拓真さんは東京に就職したの?」

「そう。
 俺、その話を聞いた時に、それまでおかあさん事、
『おかあさん』て呼べなかったんだけど、もしも言わないまま何かあったら、って思ったんだ。
最初、恥ずかしかったけど、一回言えたら、おかあさん、泣いちゃってさ」



 奈々緒は黙って玲王の話を聞き入っていた。

「それに、すごい人だよ、拓真さんのお義母さん。
 夏に行った時にさ、俺、かあさんと拓真さんの馴れ初め、聞いたんだ。」

「ナレソメ?」

「それも拓真さんの、その伯母さんに教えてもらったんだけど、
 え〜と、若い男女が知り合ったキッカケだったかな?」

 

 



昨年のお盆に拓真の実家に行く話しは、最初父の嵯峨叔且も難色を示した。
玲王にとって全くの他人の家だからだ。
しかし、拓真の義母が、どうしても会いたがっていると、拓真と佳苗は何度となく説明し、遂には叔且を、「うん」と言わせた。

 




東京から拓真・佳苗・玲王・露海が、拓真の車でまるで四人家族のように、拓真の田舎へ出発した。
運転席に拓真、助手席に佳苗、後ろの席に露海と座り、玲王にとって初めての東北への旅だった。



道々見る風景は、東京ではなかなか見られない美しい海だったり、壮大な山だったり、田んぼや畑が続いていたり。
玲王は見るものすべてに目を輝かせた。

高速の途中のパーキングで四人でアイスクリームを食べたり、少し珍しい、その土地のキーホルダー等の土産物に目を奪われたり、行きの長い時間さえ楽しくてしかたなかった。


高速道路を降りてから、拓真は森弥家の墓所に寄った。
拓真の父母兄、そして義父が眠っている墓だ。

山の中の急斜面に点々と並ぶ墓石。
墓の前の細い通路は前日の雨でぬかるんでいて、玲王は何度も足を取られそうになった。

斜面の頂上近くに、まだ新しい墓があった。
拓真の話だと、拓真の義父の七回忌に、
義母が「生きているうちに新しくしたい。」と言って、
作り直したばかりだと言う。

言われてみると、周りにあるいくつかの古い墓は、
丸い石に刻まれているだけだったり、
一人一人の墓を作ったのか、
同じ場所に大小いくつかの丸い墓石がランダムに並んでいたりした。


お墓参りというものを、ほぼ初めての玲王には、新鮮な驚きがあった。
墓に、花とお供え物、お線香を供えて一人一人拝むと、不思議な感動が胸に広がった。


 

墓所から拓真の家までは車で約十分だった。
ここに来て、玲王は急に不安になった。
拓真から話は聞いていたが、初めて会う拓真の義母と、うまく話ができるだろうか。
父、叔且が心配していたように、玲王には全くの他人なのだ。




しかし、その不安はすぐに杞憂だとわかった。
拓真が、家の引き戸を開けると、嬉しそうな顔をした森弥祥乃が走ってきた。そして、すぐに玲王の手を取って、中へと導いたのだ。



ありがとうございました
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【2009.09.27 Sunday 01:38】 author : sirius08
| 愛の糸 | comments(2) | - | pookmark |
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【2017.03.17 Friday 01:38】 author : スポンサードリンク
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この記事に関するコメント
何ていうか、人の人生を垣間見ている感じがして、リアルを感じるんですよね。
感情の動き方だったり、風景の描写だったり。
読むたびに、魅力に驚かされます。

続き、楽しみにしています^^
| おっさん。 | 2009/09/27 9:33 AM |
>おっさんさん
いつも ありがとうございます。

ルナーズファウンテンの方もチョロっと更新してます。
http://ameblo.jp/runas-fountain/

たまに 遊びにきてください。
| シリウス | 2009/09/27 9:25 PM |
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